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欠かせない人


現実の世界と同じように、
さまざまなタイプの人間が小説に登場します。
最近、医療をテーマにした物語でよく見かけるのが、
説明好きな人、そして、知りたがる人。



部外者には馴染みのない医学用語や専門的な治療方法について、
独り言のように語ったり、丁寧に教えてくれる人がいます。
一方で、わかりやすい解説をせがむ登場人物もいて、
作者さんの配慮のおかげでド素人の私も物語を愉しめます。



「粟粒肺内転移」「二重盲検試験」「腫瘍崩壊症候群」
初めて知った事柄ですが、よくわかりました。
「寛解」「マススペクトロメーター」
耳にしたことはありますが、いっそう理解できました。



岩木一麻さん「がん消滅の罠~完全寛解の謎~」



~「進行がん患者のがん細胞が突然消えた?」
日本がんセンター呼吸器内科医師の夏目は、
高校時代からの親友である森川の言葉に眉をひそめた。



生命保険会社に勤務する森川は当初、夏目を疑っていた。
夏目が余命半年と診断した末期の進行がん患者4名は、
多額の生前給付金を受領後、がん細胞が消えてしまっていた。



余命診断には複数の医師が関わっていた上に、
検査データにも不正はなく、森川らの保険会社の調査は終了。
しかし、がん細胞が消失した謎は明らかになっていない。



がんセンター研究所に所属する羽島研究員は、
夏目や森川から一連の話を聞いて強い興味を示した。
「殺人事件ならぬ活人(かつじん)事件」と羽島は言った。



がん細胞の消えた患者4名全員が、
湾岸医療センターからの紹介であることが判明。
その医療機関の理事長名を聞いた夏目は一瞬、言葉を失った。~



主人公の夏目先生の奥様は医療関係者ではありませんが、
頭が良く好奇心旺盛な女性として描かれています。
キュートな奥様が質問し、優しい夏目先生が解説することで、
医学の専門用語がわかりやすく読者に伝わる仕組み。



『第15回このミステリーがすごい!』大賞受賞作品。
粟粒肺内転移のように、あちこちに罠が散らばっています。
最終シーンの言葉の疑問は、翌日になってようやく判明。
3ページ前に布石があったのに、まんまとやられました。

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Calender