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縁のない世界へ


数年前、NH〇で「もうひとつのショパンコンクール
~ピアノ調律師たちの闘い~」という番組がありました。
華やかな舞台の裏で繰り広げられる、
地味で苛烈な挑戦を追ったドキュメンタリーです。



コンクールでは主催者がトップメーカー4社のピアノを用意します。
演奏者はその中から好みのピアノを選択。
各ピアノにはメーカー専属の調律師が付いていて、
演奏者のリクエストに応じて音を創ります。



調律師はコンクールが行われている昼の間、
神経を集中させて演奏を聴きます。
自社製ピアノの音を調整するのは、

みんなが帰った後の、夜から明け方まで。



予選から本選まで数日間に及ぶコンクール期間中、
調律師は寝る暇がありません。
連日、微妙な調整に神経をすり減らして、
お気の毒なことに、終盤は目の下にクマが出来ていました。



放送中、耳を澄ませていましたが、
調律前後の音の違いは聞き分けられず。
どこが違う?どう変わった?
音感ゼロの私には縁のない世界かも。



宮下奈都さん「羊と鋼の森」



~17歳の僕は、ある日、不思議な出会いをした。
放課後の人気のない学校の体育館で。
その人は板鳥さんというピアノの調律師だった。



調律に魅せられた僕は専門学校で学び、
卒業後は楽器店に就職した。
板鳥さんの勤め先だった。



僕はピアノが弾けない。
音感が優れているわけでもない。何もない。
好きだという気持ちだけ。



ある日、先輩の柳さんと出向いた訪問先で、
女子高校生に会った。双子だった。
心魅かれるピアノを弾く二人だった。~



「羊と鋼の森」は若き調律師の成長を描いた小説で、
2016年本屋大賞の大賞を受賞しています。
当然、ピアノの音や楽曲がいろいろ登場しますが、
音感や音楽センスがなくても存分に楽しめました。



特に、双子ちゃんの演奏シーン。
もちろん小説だから音はありません。
文字や文章で音や音楽を愉しむという不思議な体験。
今まで無縁だった世界へ連れていってもらいました。

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Calender