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理想像


楽屋口に整列しているのは、若いOLさんから熟年層のおば様まで。
皆さん、気合の入ったお化粧と服装です。
お目当てのトップスターが登場すると、ワッと歓声を上げるものの、
列を乱すことなく熱い視線を送り続けていました。



100周年を迎えた某歌劇団。
5つの組と専科があり、組の頂点に立つのがトップスター。
公演で主役を演じるのが、彼?いや彼女の務め。
そう。その人はれっきとした女性、その人を慕うファン達も女性。



「トップスターのどこに魅かれますか?」と質問されたファンは口々に、
話し方、声の質、歩き方、しぐさ、視線、表情、雰囲気、すべてという回答も。
スラリとした体形、洗練された着こなし、整った顔だちも、
多くの女性ファンを魅了しているはず。



作家の林真理子さんによると、
歌劇団のトップスターとは理想の男性像を具現化した存在だと。
好かれることを前提に作られているので、
好かれて当然、憧れの対象になるのは当たり前。



しかし、それは現実の世界には在り得ないもの。
中身は女性だし。そもそも作られたものだし。
つかのまの幻影。報われない想い。いつか幕は下りるのです。
深く立ち入ってしまわないように、くれぐれもご注意を。



百田尚樹さん「プリズム」



~家庭教師先で出会った青年は不思議な人でした。
急に怒って、モノを投げつけたかと思えば、
芸術活動をしていると言って、実際に素晴らしい絵を描いたり。



戸惑う私に、思慮深いまなざしを向けてきた日もありました。
紳士のように振る舞う彼と過ごす穏やかな時間。
しかし、平穏な日々は長く続きません。



徐々に明らかになる真相。そして"彼ら"のこと。
"彼ら"が語る衝撃的な過去。
「僕は存在しない男」、彼は私にそう告げたのでした。~



主人公が魅かれていく"彼"は理想的な男性ですが、
実は、大いに訳ありの人。
深入りすれば、後で自分が傷付くと分かっているのに、
まっすぐ突き進んでしまう主人公の勇気に感心しました。



歌劇団の劇場内にある美容院では、
トップスター気分を満喫できる特別メニューがあります。
ドーランを塗り、濃いアイラインを引き、長い睫毛を付けて、
かつらと衣裳を身につければ、私はオスカル、あるいはアンドレ。



お化粧・衣裳着付・撮影込みで、11,500円。
歌劇団のファンでもないし、お気に入りのトップスターもいないので、
自分が変身してみようという気はこれっぽっちもありませんが、
こちらのメニューは完全予約制で女性限定だそうです。

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Calender