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ゼロにできなくて

 

若い知人達と話していて何となく感じていましたが。
『大学生の4割が読書時間ゼロ』。
2月27日付のY新聞に掲載されていた全国大学生協の調査結果を見て、
読書習慣のない学生さんがこれほどいるとは、と驚きました。

 

調査によると一日の平均読書時間は約27分。
本をまったく読まない、時間ゼロ分と答えた大学生が40.5%。
スマホの普及率が着実に伸びる一方で、
読書時間だけでなく書籍購入費用も年々減少しているそうです。

 

かたや、私の読書時間や本代はうなぎのぼり。
具体的な数字は恐ろしくて言えません。これ以上増やさないようにしなくては。
小説を読まなければ、その時間やお金を別のことに使えるわけで、
読書時間ゼロという学生さんがちょっとだけ羨ましく感じられました。

 


桐野夏生さん「ポリティコン ~上・下~ 」

 

~脱北ビジネスに関わっていた母が行方不明に。
16歳の中島真矢は生き延びるために農業共同体の唯腕村へと向かうが、
そこは想像以上に過酷な特殊環境で、村人は閉塞感の中で疲弊していた。

 

唯腕村の若きリーダー、高浪東一は苛立っていた。
ユートピアを謳った村であったが運営は厳しく、村民の不満も噴出。
爆発寸前の怒りと若いエネルギーを持て余した東一の前に真矢が現れた。~

 

主役の二人、東一と真矢をはじめ、登場人物はクセモノ揃い。
クログロとした感情、ネトネトした人間関係、
ズルズルの会話、ドロドロの展開に足を取られて何度も立ち往生。
それほど醜悪なのに、何故か読むのが止められません。

 

『自分が生きられない人生や、自分とは違う感受性を知ることができる』
第150回直木賞を受賞した姫野カオルコさんの贈呈式でのコメントです。
小説を読む面白さを言い当てていると思います。
本を開くだけで自分とは異なる考えや感情を示す人々に出会えるのだから。

 

ひどい仕打ちをされて、東一のことを怒って恨んで憎んでいたのに、
復讐する機会は何度かあったのに、物語の最後で真矢はあっさりとゼロ化。
執念深い私は、3倍くらいの仕返しをして当然だと考えていたので、
真矢の潔さがすごく羨ましく思えました。

 

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Calender